5月20日。MotoGP第5戦フランスGP。ル・マン・ブガッティ・サーキット。
1995年に起きた、26ダニ・ペドロサの師匠とも言うべきアルベルト・プーチの事故により、2000年までグランプリシーンから遠のいていたル・マン・ブガッティ・サーキット。1速を多用するタイトなレイアウトは、コーナリングからの鋭い立ち上がり加速が鍵を握りそうである。 ポールポジションは自身初、YAMAHA5コリン・エドワーズ。2番手にはポイントリーダー、好調27ケイシー・ストーナーが続き、いつ以来だろうか久しぶりのフロントロー最後には、7カルロス・チェカが名を連ねる。 セカンドロー4番手に46ヴァレンティーノ・ロッシ、前戦、自身初の表彰台にはりきる21ジョン・ホプキンスが5番手、6番手に24トニ・エリアスと続く。 巻き返しを図りたいHONDAワークスRepsol勢は、7位に1ニッキー・ヘイデン、10位に26ダニ・ペドロサと振るわない。 前戦、中国GP予選日に転倒し早々に帰国した、このレースの地元フランス出身19オリビエ・ジャックの代役に、11フォンシ・ニエトが最後尾19番グリッドからのスタートとなる。 気温6℃、路面温度19℃、湿度39%、決勝周回数28周。前日の予選日、気温23℃とはうってかわった厳しいコンディションとなった、ここから6戦連続で開催されるヨーロッパラウンドの初戦とも言うべきフランスGPは、ウェット宣言のもとレースが始まる。 ※ウェット・レースとは。 レース中に天候が変動したとしても、原則として、タイヤ交換等のためのレースの中断は行われずに、状況に応じて、各チーム、各ライダーの判断に従いレースを続行するというルール。この場合、ウェット用にセッティングした(スペア)マシンに乗り換えることも可能である。 27ケイシー・ストーナーがいいスタートを見せ、後続もさしたる混乱なく、クラッシュの起こりやすい最初のシケインをスムースに通過していく。それに続く右に大きく回りこむコーナーで、4番グリッドスタートの46ヴァレンティーノ・ロッシがすかさず先頭に立つと、1周終り、最初のコントロールラインを以下の順位で通過していく。 1.46ヴァレンティーノ・ロッシ 2.27ケイシー・ストーナー 3.7カルロス・チェカ 4.4アレックス・バロス 5.24トニ・エリアス 6.33マルコ・メランドリ 7.50シルバン・ギントーリ 8.21ジョン・ホプキンス 9.1ニッキー・ヘイデン 6玉田誠が14位、26ダニ・ペドロサを挟んで、56中野真矢が16位。 ポールスタートの5コリン・エドワーズはなんと18位にまで下がっている。 そして、地元フランス人ライダー50シルバン・ギントーリが、温まり易いというダンロップタイヤの特性も生かし着々と順位をあげ、2周終りには4位にまで上がってくる。同じく地元フランス人ライダー、10位でコントロールラインを通過した14ランディ・ドプニエも早々に7位に上がり、上位をうかがう。 46ヴァレンティーノ・ロッシがひとり抜け出す中、2位集団の争いが激しくなる。27ケイシー・ストーナーをパスした、滑りやすい路面に強さを見せるベテラン4アレックス・バロスが2位、その後ろでは、フランス人同士、黄色いマシンのYAMAHA50シルバン・ギントーリと緑のマシンKAWASAKI14ランディ・ドプニエがしのぎを削り、それまで2位だった赤いマシンのDUCATI27ケイシー・ストーナーは5位へと一気に順位を落とす。 4周目。最後尾から数えて2番目を走行していたポールスタートの5コリン・エドワーズが早々にピットイン。レイン仕様のマシンに乗り換え、コースに復帰する。大きな遅れを取り戻そうという作戦に見受けられるが、路面はまだまだドライといってもいい状況。果たして逆転は叶うのか。現在TOPの周回タイムは、予選1分33秒台に比べて、1分41秒台。確かに路面は濡れているが、少々早すぎの感は否めない。 その4周目後半。緑のマシン、KAWASAKI14ランディ・ドプニエが4アレックス・バロスをパスし、2位にあがる。また後方にいた26ダニ・ペドロサもファーステスト1’39.241を記録し、8位に追い上げてくる。 5周目。14ランディ・ドプニエは46ヴァレンティーノ・ロッシのすぐ後ろにせまると、向えた5周終りのホームストレートで並びかけ、シケインの入り口までに前に出る。続いて50シルバン・ギントーリもロッシを抜き去り、地元フランス人ライダーの1,2体制を築く。 ウェット路面を走る場合、先頭を行くのはコーナーへの侵入スピードなど、かなりのリスクと背中合わせになるのだが、地元パワーでイケイケ状態となっている14ランディ・ドプニエ、50シルバン・ギントーリはこのままの勢いをどこまで維持することができるのか。 そして、14ランディ・ドプニエが少しはらんだところ、すかさず50シルバン・ギントーリが生涯初のMotoGPクラスTOPに躍り出る。 6周終り。 1.50シルバン・ギントーリ 2.14ランディ・ドプニエ 3.46ヴァレンティーノ・ロッシ 4.4アレックス・バロス 5.26ダニ・ペドロサ 6.27ケイシー・ストーナー 7.7カルロス・チェカ 8.33マルコ・メランドリ 9.21ジョン・ホプキンス そしてまだ14ランディ・ドプニエが前に出ると、7周目、その後方の団子状態、46ヴァレンティーノ・ロッシが失速したところ、タイトなラインを強いられた7カルロス・チェカがフロントからスリップダウン。幸いにも誰を巻き込むことなく、レースは続行される。 8周目。順調に走ってきた50シルバン・ギントーリであったが、そろそろDUNLOPタイヤの耐久性に問題が出てきたのか、21ジョン・ホプキンス、26ダニ・ペドロサに続けざまに抜かれ、4位へと順位を下げ、そして、バックストレート終りのシケインでハイサイドにより宙を飛んだ。地元フランス人ライダーのひとりはここでTOP集団から姿を消した。 同周、最終複合コーナー、24トニ・エリアスがハイサイドを喫す。徐々に路面が黒くなり、見た目にも濡れてきているのがわかる。 そして9周目。先頭を走り、徐々に引き離しにかかっていた14ランディ・ドプニエも痛恨のスリップダウン。序盤を沸かせた地元フランス人ライダーはここでリタイヤとなった。 これでTOPは21ジョン・ホプキンス、続いて26ダニ・ペドロサ、33マルコ・メランドリの上位3台となるが、明らかにバンク角の浅くなったマシンをこわごわ走らせるのがせいぜい。後続のマシンはこの機に続々とピットイン。1ニッキー・ヘイデン、65ロリス・カピロッシ、56中野真矢などなど、レイン仕様のマシンに乗り換え、次々とピットロードへと飛び出していく。 そして後続のマシンに遅れること1周。上位陣が軒並みピットイン。はたしてこの遅れがこの後どのように影響してくるのか、興味が沸き上がる一瞬である。 10周終りの順位。 1.33マルコ・メランドリ 2.21ジョン・ホプキンス 3.26ダニ・ペドロサ 4.27ケイシー・ストーナー 5.46ヴァレンティーノ・ロッシ 6.71クリス・ヴァーミューレン 7.1ニッキー・ヘイデン 8.65ロリス・カピロッシ 9.66アレックス・ホフマン 6玉田誠11位、56中野真矢12位。 11周目。21ジョン・ホプキンスがTOPに出ると、71クリス・ヴァーミューレンも33マルコ・メランドリをかわし、2位に。これでSUZUKIの1,2となり、雨を得意とする71クリス・ヴァーミューレンはそのままの勢いで帰ってきたホームストレート、21ジョン・ホプキンスをかわしTOPに立つ。その後するすると順位を下げ、4位を走行していた21ジョン・ホプキンスがリアを滑らせコースオフ。しかし転倒は免れ、9位でレースに復帰。 15周終りの順位。 1.71クリス・ヴァーミューレン 2.33マルコ・メランドリ(+0.912) 3.46ヴァレンティーノ・ロッシ(+5.611) 4.27ケイシー・ストーナー(+5.934) 5.1ニッキー・ヘイデン(+7.984) 6.66アレックス・ホフマン(+8.761) 7.26ダニ・ペドロサ(+11.632) 8.21ジョン・ホプキンス(+12.439) 9.4アレックス・バロス(+18.092) 2位と3位の間が開き、71クリス・ヴァーミューレン、33マルコ・メランドリが後続を引き離す。4位につける27ケイシー・ストーナーはポイントランキングを考えた上では3位を行く46ヴァレンティーノ・ロッシの前に出たいところ。もちろん46ヴァレンティーノ・ロッシは意地でも27ケイシー・ストーナーを抑えたい。そして、ペースの上がらない46ヴァレンティーノ・ロッシを抜きあぐんでいる間に、27ケイシー・ストーナーの後方からは1ニッキー・ヘイデンが着々と差を詰めてくる。 それまでよくこらえていた46ヴァレンティーノ・ロッシであったが、遂にバックストレート終りのシケインで外に膨らみ、その横を27ケイシー・ストーナーがすり抜けていく。 22周終り。 1.71クリス・ヴァーミューレン (+1.149) 2.33マルコ・メランドリ (+15.086) 3.27ケイシー・ストーナー (+6.160) 4.46ヴァレンティーノ・ロッシ 5.1ニッキー・ヘイデン (+3.057) 6.66アレックス・ホフマン (+2.696) 7.26ダニ・ペドロサ それまで11位前後で健闘していた56中野真矢もペースアップを図ったところ、スリップダウン。そのままリタイアとなる。 23周目。残り6周。1ニッキー・ヘイデンが、コーナーの入り口でまたまた外に膨らんだ46ヴァレンティーノ・ロッシのインを苦もなく抜き去り、4位にあがる。 25周目。残り4周。1ニッキー・ヘイデンにかわされた同じコーナーで、46ヴァレンティーノ・ロッシは、26ダニ・ペドロサにもかわされる。これで、26ダニ・ペドロサは5位に、46ヴァレンティーノ・ロッシは6位に。続く66アレックス・ホフマンにもかわされ、46ヴァレンティーノ・ロッシは7位にまで順位を落とす。 26周目。残り3周。初優勝を狙う71クリス・ヴァーミューレンは2位33マルコ・メランドリとのギャップを3.370秒にまで広げ、磐石の態勢を築く。4位を走行中だった1ニッキー・ヘイデン。バックストレート終りでフロントからスリップダウンを喫し、マシンを大きく壊してしまう。今シーズン調子の上がらなかった1ニッキー・ヘイデンはまたしても、いい結果を残すことは出来なかった。 残る周回、忍び寄る敵の姿ははるか後方12秒以上、余裕をもってフロントをリフトさせながらチェッカーを受けた71クリス・ヴァーミューレンが、MotoGP初優勝を飾り、SUZUKIに2001年以来の栄光をもたらした。33マルコ・メランドリが今シーズン初の表彰台。そして、表彰台最後の座は、27ケイシー・ストーナーがその手の内にしっかりと掴み取った。26ダニ・ペドロサがミシュラン勢TOPの4位、66アレックス・ホフマンが5位、46ヴァレンティーノ・ロッシは6位に辛くも滑り込んだ。6玉田誠が雨の中、1Lapダウンではあるが9位と健闘を見せた。転倒後、再スタートを切った50シルバン・ギントーリが10位、ポールスタートの5コリン・エドワーズは結局3Lapダウンの12位でフィニッシュし、しぶとくも4ポイントを獲得した。 決勝結果 1.71クリス・ヴァーミューレン(オーストラリア)スズキ-ブリヂストン 2.33マルコ・メランドリ(イタリア)ホンダ-ブリヂストン 3.27ケイシー・ストーナー(オーストラリア)ドゥカティ-ブリヂストン ポイントランキング 1.→102pts 27ケイシー・ストーナー(オーストラリア) 2.→ 81pts 46ヴァレンティーノ・ロッシ(イタリア) 3.→ 62pts 26ダニ・ペドロサ(スペイン) 4.→ 61pts 33マルコ・メランドリ(イタリア) 5.↑ 55pts 71クリス・ヴァーミューレン(オーストラリア) 6.↓ 48pts 21ジョン・ホプキンス(アメリカ) 7.↑ 38pts 65ロリス・カピロッシ(イタリア) 8.↓ 35pts 24トニ・エリアス(スペイン) 9.↓ 35pts 5コリン・エドワーズ(アメリカ) 10.↑ 30pts 66アレックス・ホフマン(ドイツ) 15.→ 15pts 56中野真矢 17.↑ 11pts 6玉田誠 and Peace!
by hajimechan74
| 2007-09-10 21:51
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