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『ラフカット2006』(その2)
(つづき)

第3話。「やさしい悪魔」。
テニススクールの、主に初級者コースを受け持つイケメンコーチをめぐる女の争い。
ショウのモデルをしているという女はスクールに入ってまだ日が浅いが、なんとかしてコーチをラケット選びに誘い出した。古株のメンバー達、いわゆる有閑マダム、いやそこまで歳はとってない彼女達であれば当然面白くない。なぜなら秘密裡にコーチのファンクラブを作り、抜け駆けを許さない体制を作り上げていたからだ。
実は少し前にもコーチにラケットを見つくろってもらった女性が、ロッカーの鍵が見当たらなくなるなど、度重なる嫌がらせとも思える出来事に、我慢できずやめたばかり。
そして、今回のこのショウモデルのロッカーの鍵も度々なくなるのであったが、前者と違うのはこれにとどまらずあからさまに嫌がらせが続くことだった。
つい先日の世間話で、ショウに出ている若い子たちが着替えるのを恥ずかしがって出番に遅れたことに対して、プロ意識がない、などと少々自慢げに話したことを妬まれ、今日もまたロッカーの鍵のない彼女に対し、歓談室で着替えればいいのよ、とマダム達。あなたくらいになれば、当然、人目も気にせずに着替えることができるわよね、さあさあ!と詰め寄られたショウモデルは仕方なく着替え始めるが、レッスン着のショートパンツも隠され、あろうことかそこにコーチが通りかかり。。彼女は泣きながら走り去っていった。

一方で上級者コースのコーチの話では、ここの給料だけではやっていけず、居酒屋でアルバイトもしているという。ではあのイケメンコーチは?との問いに、どうやら例のファンクラブから結構な上がりがあるらしくってね。うまいことやってるらしいよ。との話。
この上級者コースに通う男性の妻が、テニススクールを浮気の隠れ蓑にしているのではと疑い見学にくるのだが、もちろんその疑いは晴れ、では私も。と自身も入会することになった。新婚夫婦そろってテニスとはうらやましいですね。という上級者コースの人々の向こうでは、初級者コースでコーチにしっかりと個人レッスンを受ける、入ったばかりのこの若奥さま。
そして、手取り足取り教えるこのイケメンコーチの手には、ロッカーの鍵が怪しげに光るのだった。

(つづく)


and Peace!
by hajimechan74 | 2006-12-17 17:20 | 舞台映画鑑賞
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