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『偽伝、樋口一葉』(その2)
(つづき)

はじめまして。半井桃水です。はじめまして。樋口夏子です。

娘が死んで、もう3年か。日本では弟さんたちも苦労していると聞く。半井くん、私達に気兼ねなく、日本に帰っていいのだよ。

私も夏子さんと同じで、家族を養うために書いているようなものです。でも、世が世なら、私の理想とする、最高の芸術といえる小説を書いていることでしょう。

日記からひもとく一葉と桃水の恋愛かぁ。世が世なら。。とかなんとか言っちゃってるけど、でも要するにあれよね。と女子大学生たちの指差すところには、レストランでアルバイトをする男子ひとり女子ひとり。
「じゃ、わたしこれで失礼します。お疲れ様でした。」
その店で一番かわいい女子が彼に背を向けた瞬間、ガラガシャーンンン。とその辺のものを蹴飛ばすミュージシャン志望の男子。振り向く女子。
「あの、どうしたんですか。」
「嗚呼!オレはこんなところでくすぶっている訳にはいかないんだぁ。オレには、音楽しか、ないんだぁ!!」
男子の胸に飛び込む女子。
「xxxxさん!ステキ!!」(xxxxには作演出の名前だったり当日観劇に来ていたヒトだったりの名前が入ったり入らなかったり笑)
とまあ、そういうことな訳でしょ。ふーん。昔も今もあんまり変わらないのね。

半井邸にて桃水の帰りを待つ夏子。兄ったらすみません、もしなんなら日を改めて。いえ、先生から手紙を頂いて、あの、待たせていただいても構わないでしょうか。

くーちゃん、なぁに。随分熱烈なお手紙じゃないの。全く隅におけないわね。え。いやだ。わたし宛じゃない。ちょっと、ヒトの手紙を勝手に読んで。もう。渡しなさい。くーちゃん。

お待たせしてしまって申し訳ない。昼から待ちわびた桃水の帰宅に涙ぐむ夏子。しかし、桃水はとある出版社の人間と一緒だった。夏子の小説を読んだと言うその御仁曰く、まだまだではあるが、あなたの作品には匂い立つ気品がある。その言葉に夏子の顔の曇りが晴れる。そして、桃水は宣言する。あなたを小説家にする。それをボクの人生の仕事にする。

(つづく)


and Peace!
by hajimechan74 | 2007-02-02 15:28 | 舞台映画鑑賞
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